甘く熱いキスで
「どうして……生きる、道を選んだの?ライ、ナーが……生き、る、意味を……見つけた、からじゃ……っ、ない、の?」
「ユリア様……」

ライナーがユリアを守ってくれた。今も、僅かながら炎を使ってユリアを海水の冷たさから守ってくれている。
それでもユリアたちの体温を奪おうとする波は残酷だ。

だんだんと身体の奥が冷えていく。

「……私、言った、でしょう?どんな、ことがあって、も……貴方を、信じて……味方で、いる、って」

ユリアはライナーの頬を冷たくてもう感覚のない両手で包み込んだ。ライナーも顔色が悪く、震えている。

「ライナー……好き」

そう言って、ユリアはライナーと唇を重ねた。

冷たい。あんなにユリアを熱くさせたキスが、今日は温度を持たなくて……でも、心はとても温かい。

ライナーがユリアの隣にいてくれることに、安堵の息を漏らすと、身体の力が抜けた。

「ユリア様!」

グッと強くライナーに引き寄せられて、ユリアは頬を緩める。

こんなに温かいのに、震えがとまらず身体が思うように動かない。

「ライ、ナー……つめ、た……っ」
「ユリア様!ユリア様!」

何度もユリアを呼ぶ声が、遠ざかっていく。

冷たくて、怖い。

ライナーと離れたくない。

ゆらりと揺らいだ波を感じるのと同時に、ユリアの意識は途切れた。
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