甘く熱いキスで
「そう、ですか……ユリア様の……わ、たしの、子は――」
「今更そんな父親面しても遅い!」
それまで黙ってユリアの手を握っていたアルフォンスがライナーの言葉を遮った。振り向いた彼の表情はとても険しく、ライナーを睨み殺しそうな鋭い瞳が怒りに燃えている。
「ユリアは俺と結婚する。お前とは何もなかった。俺はお前が死ん――」
「アルフォンス」
興奮気味にライナーに畳み掛けるアルフォンスを、厳しい声で諌めたエルマーはクッと顎で治療室の扉を示す。
「少し頭を冷やしておいで。ユリアの身体にも障るし、ライナーも安静にしてなきゃいけないんだから」
アルフォンスはユリアを振り返り、そしてライナーをもう一度睨んで舌打ちをして大またで治療室を出て行った。
閉まった扉に視線を向けたまま、エルマーがため息をつく。
「ごめんね、ライナー」
「いえ……もっと罵られても仕方のないことを、しました……」
ユリアはライナーを責めなかった。命を捨てようとしたことは怒っていたけれど、ユリアへの復讐については何も言わず、ただ“そばにいたい”と言って泣いていた。
ユリアは優しすぎるのだと、ライナーは随分前から知っていたのに……
「今更そんな父親面しても遅い!」
それまで黙ってユリアの手を握っていたアルフォンスがライナーの言葉を遮った。振り向いた彼の表情はとても険しく、ライナーを睨み殺しそうな鋭い瞳が怒りに燃えている。
「ユリアは俺と結婚する。お前とは何もなかった。俺はお前が死ん――」
「アルフォンス」
興奮気味にライナーに畳み掛けるアルフォンスを、厳しい声で諌めたエルマーはクッと顎で治療室の扉を示す。
「少し頭を冷やしておいで。ユリアの身体にも障るし、ライナーも安静にしてなきゃいけないんだから」
アルフォンスはユリアを振り返り、そしてライナーをもう一度睨んで舌打ちをして大またで治療室を出て行った。
閉まった扉に視線を向けたまま、エルマーがため息をつく。
「ごめんね、ライナー」
「いえ……もっと罵られても仕方のないことを、しました……」
ユリアはライナーを責めなかった。命を捨てようとしたことは怒っていたけれど、ユリアへの復讐については何も言わず、ただ“そばにいたい”と言って泣いていた。
ユリアは優しすぎるのだと、ライナーは随分前から知っていたのに……