甘く熱いキスで
「ん……?」

まだぼんやりして目を擦りながら身体を起こすユリアはあくびをしてからライナーに目を留める。

「ライナー!」

その途端、ユリアがライナーの身体に飛びついてきて、ライナーは慌てて彼女の身体を受け止める。落としたスプーンが床に落ちて音を立てた。

ライナーの身体はぐらついたが、その背をクラドールが支えてくれてなんとか座ったままの姿勢を保つ。

「ユリア様、落ち着いてください。ライナー様は安静にしなければなりません」
「ライナー、もう大丈夫なの?痛いところは?昨日、たくさん血が流れて……っ、た、大変だったのよ」

じわりとユリアの目に涙が滲んでいく。

クラドールの言うことなど聞こえていなかったかのようなユリアに、クラドールがため息をつくのを見て、ライナーは苦笑いをしてユリアの手を取った。

「薬を飲まなければならないそうですが、心配ありません。ユリア様も、お食事を」

ユリアはライナーの体温に安心したのかホッと表情を緩め、ライナーから離れた。

それから2人で食事を始める。一緒に食事をするのは久しぶりでくすぐったい。

「あの後……すぐにアルフォンスが来てくれたの。覚えている?」
「いえ……意識がほとんどなくて……後で、きちんとお礼をしなければなりませんね」
「カイとイェニーもすぐに戻ってきたし、貴方の怪我も治療できたわ」

それから少し間を置いて、ユリアがスプーンをトレーに置く。
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