甘く熱いキスで
赤い絨毯を歩くのは、小さな頃からの習慣のようなものだ。ユリアは謁見の間へと足を踏み入れると、躊躇いなく玉座のヴォルフとフローラの前まで進み、ドレスのスカートをつまんでお辞儀をした。
少し離れた場所にはイェニーとエルマーも控えている。完全にユリアの分が悪い。
「ユリア。お前はここ2日、珍しく早起きだな?おまけに議会にまで出席ときた」
すでに理由はわかっているだろうに問いかけてくるヴォルフは、しかし、怒っているわけではないらしい。
目を細めてユリアを見つめてくるヴォルフの視線は、どちらかというと娘の行動に“興味がある”といった感じのものだ。
ユリアは少し上目遣いにヴォルフを見据え、息を吸い込んだ。
「3日前の夜に行った仮面舞踏会(マスカレード)で見つけた運命の人と結婚したいの」
「結婚って……ユリア、貴女はまだその人に会ったばかりなのでしょう?それも、仮面舞踏会でなんて……」
「でも、彼とのキスは情熱的だったわ。お母様とお父様のような出会いだったの」
そう言うと、フローラは困ったように眉を下げた。
「誰かれ構わずキスをしたらいけないって何度も――」
「フローラ、今はその話じゃない。それで?」
「彼は名前を教えてくれなかったけれど、見つけたわ。ライナー・カぺル、フラメ王国軍精鋭部隊の新人よ」
ヴォルフに促されて説明を付け足すと、フローラがまた慌てて口を開く。
少し離れた場所にはイェニーとエルマーも控えている。完全にユリアの分が悪い。
「ユリア。お前はここ2日、珍しく早起きだな?おまけに議会にまで出席ときた」
すでに理由はわかっているだろうに問いかけてくるヴォルフは、しかし、怒っているわけではないらしい。
目を細めてユリアを見つめてくるヴォルフの視線は、どちらかというと娘の行動に“興味がある”といった感じのものだ。
ユリアは少し上目遣いにヴォルフを見据え、息を吸い込んだ。
「3日前の夜に行った仮面舞踏会(マスカレード)で見つけた運命の人と結婚したいの」
「結婚って……ユリア、貴女はまだその人に会ったばかりなのでしょう?それも、仮面舞踏会でなんて……」
「でも、彼とのキスは情熱的だったわ。お母様とお父様のような出会いだったの」
そう言うと、フローラは困ったように眉を下げた。
「誰かれ構わずキスをしたらいけないって何度も――」
「フローラ、今はその話じゃない。それで?」
「彼は名前を教えてくれなかったけれど、見つけたわ。ライナー・カぺル、フラメ王国軍精鋭部隊の新人よ」
ヴォルフに促されて説明を付け足すと、フローラがまた慌てて口を開く。