甘く熱いキスで
「宣戦布告、されてしまいました」

アルフォンスの発言は、ずっと廊下にいたらしいライナーに気づいていたからこそのものだったらしい。

「うん。でも、これは負けない戦いだわ」
「戦い……ですか。そういえば、私はユリアに負けましたね」
「その勝負は引き分けよ。私はライナーの真意を見抜けなかったわ。でも、ライナーは私を好きになったでしょう?」

そう言うと、ライナーはクスクスと笑ってユリアをその腕に閉じ込めた。

「では、また勝負を致しましょう。そうですね……私とユリア、どちらからするキスが多いか、なんていうのはいかがでしょう?」
「そんなの、負けな――っ、ん」

言い終わらないうちに唇を塞がれて、ユリアは熱く交わる吐息に誘惑される。ちゅっと音を立てて離れた唇を視線で追うと、ライナーがまた面白そうに笑い、ユリアは頬を膨らませた。

「ずるいわ」
「先手必勝です」

そのままお互いに唇を寄せ、今度はどちらからのキスなのか曖昧なほどお互いを求め合うキスをかわす。

正反対の運命にあった2人が、出会って、傷つけ合って、恋をして……未熟な2人は、ここから手を取り合って生きていく。

そんな2人の運命の始まりは、甘く熱いキスで――…


*END*
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