甘く熱いキスで
ユリアは怒りに任せて城の廊下を歩いていた。王女とは思えない歩き方に、「最低」とか「アルのバカ、アホ」とか……こちらも王女とは思えない暴言の数々を零していく。
「…………ア様、……ユリア様」
少し強めに手を引かれて、足を止める。振り返ると、ライナーがフッとため息をついてユリアを見つめてくる。
「……どちらに、行かれるのですか?」
「中庭…………ううん、教会にしましょ」
今の時間なら、ちょうどお昼の礼拝が終わった時間で人もいないだろう。ライナーはユリアの提案に軽く頷いて、ユリアの後をついてきてくれた。
城の敷地内に建てられた教会は、シュトルツ信仰――フラメ王国民として炎の血を受け継ぐことを誇りとし、それを継承していくことの大切さを説く教え――のものだ。多くの宗教画が飾られた内装は、天井が高く、ステンドグラスの色も赤の配色が多めである。
何列もの席は、月に一度行われる正式な礼拝では満席になるほど人が集まる。毎週欠かさず通ってくるのは、主に信仰深いタオブン――議会の穏健派でファルケンと対立する保守派――の議員たちだが、月一度の礼拝にはファルケン側の人間もやってくるためだ。
ユリアとライナーはその最前列に並んで座った。だが、ユリアはライナーの顔をまともに見られなくて、顔を伏せたままだ。
「アルフォンス様は、ユリア様を慕っていらっしゃるのですね」
「……ごめんなさい」
しばらくしてライナーが発した言葉に、なんと答えていいかわからず、謝罪する。
「なぜ、謝るのですか?」
「それは……」
「アルフォンス様とキスをしようとしたこと、ですか?」
無機質な声に、ユリアはビクッと肩を震わせた。
「…………ア様、……ユリア様」
少し強めに手を引かれて、足を止める。振り返ると、ライナーがフッとため息をついてユリアを見つめてくる。
「……どちらに、行かれるのですか?」
「中庭…………ううん、教会にしましょ」
今の時間なら、ちょうどお昼の礼拝が終わった時間で人もいないだろう。ライナーはユリアの提案に軽く頷いて、ユリアの後をついてきてくれた。
城の敷地内に建てられた教会は、シュトルツ信仰――フラメ王国民として炎の血を受け継ぐことを誇りとし、それを継承していくことの大切さを説く教え――のものだ。多くの宗教画が飾られた内装は、天井が高く、ステンドグラスの色も赤の配色が多めである。
何列もの席は、月に一度行われる正式な礼拝では満席になるほど人が集まる。毎週欠かさず通ってくるのは、主に信仰深いタオブン――議会の穏健派でファルケンと対立する保守派――の議員たちだが、月一度の礼拝にはファルケン側の人間もやってくるためだ。
ユリアとライナーはその最前列に並んで座った。だが、ユリアはライナーの顔をまともに見られなくて、顔を伏せたままだ。
「アルフォンス様は、ユリア様を慕っていらっしゃるのですね」
「……ごめんなさい」
しばらくしてライナーが発した言葉に、なんと答えていいかわからず、謝罪する。
「なぜ、謝るのですか?」
「それは……」
「アルフォンス様とキスをしようとしたこと、ですか?」
無機質な声に、ユリアはビクッと肩を震わせた。