甘く熱いキスで
それは質問だったはずなのに、ユリアが答える隙は与えられなかった。ライナーの唇がユリアの唇と重なり、啄ばむように動かされ、淡い刺激にユリアがライナーのシャツを握る。

それを見計らったかのように舌で唇を割られ、ゆっくりとユリアを溶かすような深い交わりへと沈んでいく。

「っ、は……ん、んん」

唇が少し離れる度に大きく空気を吸いこもうとするのに、すぐにライナーの熱く濡れた唇に翻弄されて息が苦しくなる。

抱え込まれた頭、首筋をゆったりとなぞる指先……痺れるような感覚は、ユリアの思考を甘く蕩けさせる。

「ふ、は……っ」

ようやく唇が離れユリアの喉がコクリと動くと、その動きを確かめるようにライナーの指がユリアの喉を伝った。それがくすぐったくてユリアが首を竦めると、ライナーは少し笑ってユリアの腰を引き寄せる。

「キス魔の王女様は、キスに不慣れなようですね?」
「こ、んな……の、したことなかったの……」

途切れ途切れに言うと、ライナーは目を細めてユリアの首筋にチュッとキスを落とした。ユリアの身体がピクッと跳ねて、ライナーはまた笑う。それから額を合わせて、囁いた。

「私とのキスが特別だというのは、あながち間違ってはいないようですね……では、私たちの運命がどういうものなのか、勝負致しましょう」
「……うん」

ユリアが頷くと、ライナーはもう一度キスをしてくれた。

それが、2人の運命に火をつけた瞬間――始まりのキスだった。
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