甘く熱いキスで
ユリアが降り立ったのは、劇場のある中心街より少し離れた場所の公園だ。そこから小走りに国立劇場へと向かう。
大通りは、ユリアと同じようにオペラを観に行くらしい人たちが皆同じ方向へ向かって歩いている。
家族連れは仲良く手を繋ぎ、恋人たちは腕を組んで笑いながらゆっくりと進んでいく。横目にそれを見ながら走るユリアは、ライナーに早く会いたくなってスピードを上げた。
すぐに辿り着いた劇場のエントランスには、すでにライナーが立っていてユリアを待っていた。
「ライナー!」
「ユリア様。こんばんは」
柔らかく微笑んだライナーはスーツを着ている。タキシードを着ていたときも思ったけれど、黒と白に身を包んだライナーは背の高さが強調される。涼しげな表情は仮面に隠されることなく、その表情はなんだか妖艶に見えた。
城では鶯色の軍服や訓練着の姿ばかり見ていたユリアにとって、とても新鮮で恥ずかしくなる。
「ドレスではないのですね」
「あ……うん。あの、目立ってしまうかと思ったから……似合わない?」
不安になって問うと、ライナーはクスッと笑い首を横に振る。
「いえ。とても素敵ですよ。いつもより、大人びて見えますね。白を身につけるユリア様は見たことがありませんでしたので、新鮮です」
大人びて見えると言われて、ユリアは心を弾ませた。悩んだ甲斐があったというものだ。
「では、参りましょうか」
ユリアが喜びを噛みしめていると、ライナーは手を差し出してくれる。ユリアはその手を取って「うん」と元気よく返事をした。
大通りは、ユリアと同じようにオペラを観に行くらしい人たちが皆同じ方向へ向かって歩いている。
家族連れは仲良く手を繋ぎ、恋人たちは腕を組んで笑いながらゆっくりと進んでいく。横目にそれを見ながら走るユリアは、ライナーに早く会いたくなってスピードを上げた。
すぐに辿り着いた劇場のエントランスには、すでにライナーが立っていてユリアを待っていた。
「ライナー!」
「ユリア様。こんばんは」
柔らかく微笑んだライナーはスーツを着ている。タキシードを着ていたときも思ったけれど、黒と白に身を包んだライナーは背の高さが強調される。涼しげな表情は仮面に隠されることなく、その表情はなんだか妖艶に見えた。
城では鶯色の軍服や訓練着の姿ばかり見ていたユリアにとって、とても新鮮で恥ずかしくなる。
「ドレスではないのですね」
「あ……うん。あの、目立ってしまうかと思ったから……似合わない?」
不安になって問うと、ライナーはクスッと笑い首を横に振る。
「いえ。とても素敵ですよ。いつもより、大人びて見えますね。白を身につけるユリア様は見たことがありませんでしたので、新鮮です」
大人びて見えると言われて、ユリアは心を弾ませた。悩んだ甲斐があったというものだ。
「では、参りましょうか」
ユリアが喜びを噛みしめていると、ライナーは手を差し出してくれる。ユリアはその手を取って「うん」と元気よく返事をした。