甘く熱いキスで
「俺は本気だ」
「……アルだけが本気でも仕方がないわ」
なんとか出した声は、少し掠れた。アルフォンスの手が熱い。
「ユリア。刺激的な感情は愛じゃない。今のユリアはまるで新しい玩具を買ってもらった子供だ。今は新鮮で楽しいかもしれないけど、結婚に必要なのは穏やかな日常だろ?伯父さんと伯母さんは、ユリアたちと平穏な日々を過ごしてる。ユリアが憧れてるのはそういう夫婦じゃないのかよ」
確かに、ヴォルフはユリアたちが恥ずかしくなるくらいフローラへの愛情表現を怠らない。それは、ゆらりと蝋燭の炎が揺れるように穏やかでお互いをそっと照らし合うようなものだ。でも……
「……違うの」
「何が違うんだよ!」
「っ、わからないけれど、違うの!」
一見穏やかな中にある激しい炎――フローラの瞳の奥にそれが垣間見えることがあることに気付いたのはいつだっただろう。ヴォルフと見つめ合うときは、いつもユリアたちに向ける愛とは違うもっと熱を秘めた感情を映しているユリアと同じ色の瞳。
「お母様は、まだお父様に恋をしているわ。キスをするからじゃないの……もっと、心の奥深くで2人は恋情を燃やし続けている。私は、お母様のように愛されたい。お父様のような、強くて、情熱的な人を愛したい」
ライナーは強い。力ではなく、精神的な強さも持っている。ずっとタオブンとファルケンの板挟みで虐げられ、両親とも離れ離れになっても尚、瞳の奥の真っ直ぐで強い炎を失っていない。
一見冷たく感じられる彼の態度がたまに揺らぐのは……本当はそこに誰よりも熱い意志を隠しているからではないだろうか。そういうライナーを知りたいという好奇心は日に日に大きくなり、キスをする度に溶かされていくユリアの心はもうライナーへと向かっている。振り向くことさえできないほどに――…
「……アルだけが本気でも仕方がないわ」
なんとか出した声は、少し掠れた。アルフォンスの手が熱い。
「ユリア。刺激的な感情は愛じゃない。今のユリアはまるで新しい玩具を買ってもらった子供だ。今は新鮮で楽しいかもしれないけど、結婚に必要なのは穏やかな日常だろ?伯父さんと伯母さんは、ユリアたちと平穏な日々を過ごしてる。ユリアが憧れてるのはそういう夫婦じゃないのかよ」
確かに、ヴォルフはユリアたちが恥ずかしくなるくらいフローラへの愛情表現を怠らない。それは、ゆらりと蝋燭の炎が揺れるように穏やかでお互いをそっと照らし合うようなものだ。でも……
「……違うの」
「何が違うんだよ!」
「っ、わからないけれど、違うの!」
一見穏やかな中にある激しい炎――フローラの瞳の奥にそれが垣間見えることがあることに気付いたのはいつだっただろう。ヴォルフと見つめ合うときは、いつもユリアたちに向ける愛とは違うもっと熱を秘めた感情を映しているユリアと同じ色の瞳。
「お母様は、まだお父様に恋をしているわ。キスをするからじゃないの……もっと、心の奥深くで2人は恋情を燃やし続けている。私は、お母様のように愛されたい。お父様のような、強くて、情熱的な人を愛したい」
ライナーは強い。力ではなく、精神的な強さも持っている。ずっとタオブンとファルケンの板挟みで虐げられ、両親とも離れ離れになっても尚、瞳の奥の真っ直ぐで強い炎を失っていない。
一見冷たく感じられる彼の態度がたまに揺らぐのは……本当はそこに誰よりも熱い意志を隠しているからではないだろうか。そういうライナーを知りたいという好奇心は日に日に大きくなり、キスをする度に溶かされていくユリアの心はもうライナーへと向かっている。振り向くことさえできないほどに――…