甘く熱いキスで
「ずっと……俺の方がずっとユリアと一緒にいる。ユリアを愛して、幸せにする自信もある。俺は、諦めない」
アルフォンスがそう言ったとき、訓練再開を告げるエルマーの声が響いた。アルフォンスはスッと立ち上がると少し屈んでユリアの髪にキスを落とした。
「どこかで、ユリアには俺が一番近いって思ってた……運命のキスなんてあるわけない、いつか俺の存在に気付いてくれる、って思ってた。出遅れたって、わかってる。でも……俺は、俺の信じる愛でユリアを守るから。本気でいくから覚悟しろよ」
アルフォンスの告白は聴き慣れていたはずなのに、ユリアは真剣な彼の声に心を揺らした。アルフォンスはユリアに近づこうとしているのに、どうしてか遠くに行ってしまった気がして戸惑う。
弟という枠を抜け出してユリアの知らない男が、ユリアの目の前にいる。赤い瞳の奥はユリアを包み込むように優しい色で、ライナーとは対照的な炎が宿る。
「朝早くに起こして悪かったよ」
そう言って、アルフォンスはユリアの肩をそっと叩いて訓練へと足早に戻っていってしまった。
「アル……」
ユリアはアルフォンスの気持ちには応えられない。たとえ、どんなに情熱的にアルフォンスにアプローチをされても、ユリアの炎はすでにライナーへと傾いてしまっている。
下り坂を行くように逸る気持ちは、一度滑りだしたら転がっていくのは容易いことで、誰にも……ユリアでさえ止められないだろう。
ユリアは再び剣を交え始めた兵士たちを遠目に見ながら立ち上がり、訓練場を後にした。
アルフォンスがそう言ったとき、訓練再開を告げるエルマーの声が響いた。アルフォンスはスッと立ち上がると少し屈んでユリアの髪にキスを落とした。
「どこかで、ユリアには俺が一番近いって思ってた……運命のキスなんてあるわけない、いつか俺の存在に気付いてくれる、って思ってた。出遅れたって、わかってる。でも……俺は、俺の信じる愛でユリアを守るから。本気でいくから覚悟しろよ」
アルフォンスの告白は聴き慣れていたはずなのに、ユリアは真剣な彼の声に心を揺らした。アルフォンスはユリアに近づこうとしているのに、どうしてか遠くに行ってしまった気がして戸惑う。
弟という枠を抜け出してユリアの知らない男が、ユリアの目の前にいる。赤い瞳の奥はユリアを包み込むように優しい色で、ライナーとは対照的な炎が宿る。
「朝早くに起こして悪かったよ」
そう言って、アルフォンスはユリアの肩をそっと叩いて訓練へと足早に戻っていってしまった。
「アル……」
ユリアはアルフォンスの気持ちには応えられない。たとえ、どんなに情熱的にアルフォンスにアプローチをされても、ユリアの炎はすでにライナーへと傾いてしまっている。
下り坂を行くように逸る気持ちは、一度滑りだしたら転がっていくのは容易いことで、誰にも……ユリアでさえ止められないだろう。
ユリアは再び剣を交え始めた兵士たちを遠目に見ながら立ち上がり、訓練場を後にした。