甘く熱いキスで
肌を伝う熱くて大きな手のひらも、濡れた唇や舌も、すべてが初めての感覚だ。ユリアはライナーが触れる度に身体を跳ねさせ、吐息と微かな声を漏らした。

ドレスの背中のジッパーは下げられ、その間から滑り込むライナーの手は先ほどからユリアの腰の丸みを撫で、ユリアの心を奪うキスをする唇ははだけた胸元を行き来する。

教会の固い椅子は身を捩るほどのスペースがなくて、ユリアは首を左右に振ったりライナーの腕を掴むことでしか恥ずかしさを逃がせない。

それでも貯まっていく一方の羞恥と、何か……身体の奥から沸き上がってくる切ない感情は、ユリアの喉から勝手に声を零し、それがまたユリアの体温を上げていく。

「や、ライナー……恥ずかし、い」

ライナーの唇がどんどん下に降りて行って、膨らみを隠していたドレスを押しのけて行くのを感じて、ユリアはいやいやと首を振った。

「とても、綺麗ですよ」

ライナーのいつもより低い声にまた背を伝うもどかしさ。
胸、お腹、足の間……今まで誰にも見せたことのない場所まで口付けられ、ユリアは熱に浮かされながら声を漏らした。
やがて、ライナーの身体がユリアに覆いかぶさり、ユリアは愛し合うという行為を知る。
身体を開かれる感覚は、鈍い痛みもあるが、ライナーがユリアとひとつになることを選んでくれたことが嬉しかった。

「ラ、イナー……キス、してっ」

ユリアが痛みに顔を歪めながらねだると、ライナーは身体をユリアの方へ倒してキスをしてくれた。
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