甘く熱いキスで
「ライナー……明日、一緒にお父様に会いに行ってくれる?」
乱れた服を直し、ベンチに寄り添って座りながらユリアが問う。すると、ライナーはユリアの肩を撫でていた手を止めた。
「ヴォルフ様は……本当に、私を貴女の婚約者にすることをお許しになるでしょうか?」
「大丈夫よ。約束したもの」
ヴォルフは、ユリアがきちんとライナーと向き合って振り向かせることができたらという約束をしてくれた。
文句を言うとしたら、アルフォンスとイェニーだろうけれど、ヴォルフの許しが出れば彼らも納得せざるを得ないだろう。
「ライナーの心配していることは、議会のこと?」
「そう、ですね……私の両親のことがありますから」
「私は、貴方がどんな身分か、どちらの派閥に属するか、そんなことはどうでもいいし、周りがどう思っていようと私の結婚を政治に持ち込むつもりもないわ。お父様も同じよ」
それを気にしているのは、議会で必死に自分の権力を広げようとしている者たちだけで、王家は昔からファルケンとタオブンの対立には不干渉を貫いている。
「いえ……そうではないのです」
ライナーはそう言うと、ユリアから身体を離して少し俯き、それから何かに耐えるように目を瞑った。
「私の両親――特に父は、ヴォルフ様とフローラ様の結婚に反対して罪に問われるほど過激な行動をとりました。私がファルケンの輪に入ることを許されていない一番の理由は、この国で最も敬うべき王家に背き罪を犯した父のことがあるからです」
「罪、って……?」
突然のライナーの告白に、ユリアの胸がざわつく。同時にライナーが自ら家庭の事情を話してくれることは初めてで、そしてユリアの求めていたことで……しかし、内容がとても重くて手放しでは喜べない。
乱れた服を直し、ベンチに寄り添って座りながらユリアが問う。すると、ライナーはユリアの肩を撫でていた手を止めた。
「ヴォルフ様は……本当に、私を貴女の婚約者にすることをお許しになるでしょうか?」
「大丈夫よ。約束したもの」
ヴォルフは、ユリアがきちんとライナーと向き合って振り向かせることができたらという約束をしてくれた。
文句を言うとしたら、アルフォンスとイェニーだろうけれど、ヴォルフの許しが出れば彼らも納得せざるを得ないだろう。
「ライナーの心配していることは、議会のこと?」
「そう、ですね……私の両親のことがありますから」
「私は、貴方がどんな身分か、どちらの派閥に属するか、そんなことはどうでもいいし、周りがどう思っていようと私の結婚を政治に持ち込むつもりもないわ。お父様も同じよ」
それを気にしているのは、議会で必死に自分の権力を広げようとしている者たちだけで、王家は昔からファルケンとタオブンの対立には不干渉を貫いている。
「いえ……そうではないのです」
ライナーはそう言うと、ユリアから身体を離して少し俯き、それから何かに耐えるように目を瞑った。
「私の両親――特に父は、ヴォルフ様とフローラ様の結婚に反対して罪に問われるほど過激な行動をとりました。私がファルケンの輪に入ることを許されていない一番の理由は、この国で最も敬うべき王家に背き罪を犯した父のことがあるからです」
「罪、って……?」
突然のライナーの告白に、ユリアの胸がざわつく。同時にライナーが自ら家庭の事情を話してくれることは初めてで、そしてユリアの求めていたことで……しかし、内容がとても重くて手放しでは喜べない。