甘く熱いキスで
「そんなことない!」

ユリアは大きな声で言い、ライナーの肩を掴んだ。

――「ライナーについては、自分の目で判断し、説得すること」

たった1人、ヴォルフはライナーの両親の件を抜きにしてライナー自身と向き合うことを促してくれた。ライナーが両親と同じなのか違うのか、ユリアに判断しろと……

「誰に反対されても、私はライナーのことが好きよ。それに、何度も言っているでしょう?たとえ、両親が罪を犯していたとしても、ライナーは別の人間よ。お父様もお母様もそれはきちんとわかってくださっているわ」

ユリアはそっとライナーの身体を抱きしめる。自分の気持ちを伝えたくて、少しでもライナーにわかってほしくて……

「私は、貴方のそばにいる。ずっと、ずっとよ……今までライナーが寂しかった分、私とたくさん楽しい思い出を作ればいい。私はライナーのことを手放したりしないわ」

一生懸命言葉を紡ぐと、ライナーもユリアの背中に手を回して抱きしめ返してくれた。

ヴォルフもフローラも、きっと認めてくれる。

それに、議会やイェニー、エルマーを説得するのも難しくはないはずだ。ライナーのヴィエント王国での功績は大きいし、特にエルマーは彼の人柄や実力を知っている。

ライナーとユリアはすぐに正式な婚約、そして結婚ができる。ユリアはそう思っていた。
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