永遠なんてない。
これ?という顔をして、彼は私の頭の上に手を伸ばす。
「あ…はい」
私が背伸びしても全然取れなかった辞書を、いとも簡単に取ってみせると、私にくれた。
「どうぞ」
「あ…ど、どうも…」
その背の高さに怖じ気ついてると、彼はフッと柔らかく笑い、隣の本棚にあったスポーツの本らしきものを手に取り去っていった。
「希衣?あったのー?」
友だちのカナコが、私のところに来た。
「あ…う、うん!あったよ!上の方にあって取れなかったんだけど、親切な人が取ってくれた」
「うわ、親切すぎる」
「ホントだよ〜。助かったー」
あはははっとカナコと笑いながら、私たちは、図書室を出た。