ねぇ、ぼくじゃダメなの【短】
「思いを伝えようか悩んでたら、裕介に取られちゃって。すっごく気分悪かったんだよね。でも、裕介だから、幸せになるなら、仕方ないと思ってたよ」

俊哉の言葉に、真帆は何も言えなかった。

「真帆ちゃんと結婚するって、あいつは確かにそう言ったんだ。なのに、なのに、あいつは裏切ったんだよ。君のことも、ぼくのことも」
「櫻井さん……」

後ろから抱きしめる腕の力が、若干強くなった。

真帆は、俊哉の腕に自分の手をのせた。

「ねぇ、ぼくじゃダメ?」
「櫻井さん…」
「ねぇ、ぼくにしなよ。ぼくなら絶対君を裏切らない。必ず幸せにする。そう、誓うから」

俊哉の言葉に、ボロボロと涙が溢れ出た。
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