緒方くんとあたし。
金銭面でそれほど困るというわけではなかったけれど、それでも何もしないでいられるほど裕福な家庭だったわけじゃない。
おかあさんは英語教師として再び教壇に立ってくれた。
そのお陰で、あたしは以前と変わらず中学へ通うことができた。
けれど、ただひとつ、
問題があった。
あたしの師匠が決まらなかった。
あたしは実は師匠というものについていたわけではなく、父の元でずっと囲碁をやっていて、将来はプロに、と考えていた。
ところが、突然の父の死。
夢はぷつり、と切れてしまった。