緒方くんとあたし。
「この間、佐伯に聞いたら、確かに持碁にはさせられたけど、持碁しかできないというわけじゃなさそうだ、と言っていた」
「、、、、、」
知らないよ、そんなこと。
「けど、あいつの説明じゃさっぱり要領得ないんで、俺と相手してよ」
自動ドアのガー、という音がしてからすぐにバッ、と何かが空を切る音がして、
瞬間的に腕を掴まれて、立ち止まる。
「なんたって大吾先生に教わってたんだからなぁ?」
ニヤリ、と笑った顔はじっとあたしを見つめていて。
決してそれはあたしを歓迎しているとは思えない顔だった。