緒方くんとあたし。
「、、、、、いまはまだ、勝つ碁ができない」
今までの会話からあたしのこと、うすうす感づいているんだこの人。
そう思ったら、本当の気持ちがさらっと出てしまった。
だって、
持碁でさえ、おとうさんを思い出す。
まして、
勝つための碁なんて、まざまざと、思い出されてしまって。
今のあたしには、ただ苦しいだけ。
緒方くんを見れなくて街のイルミネーションを見た。
滲んだ目を見られないように。