緒方くんとあたし。





「、、、、、いまはまだ、勝つ碁ができない」

今までの会話からあたしのこと、うすうす感づいているんだこの人。

そう思ったら、本当の気持ちがさらっと出てしまった。




だって、

持碁でさえ、おとうさんを思い出す。

まして、

勝つための碁なんて、まざまざと、思い出されてしまって。





今のあたしには、ただ苦しいだけ。

緒方くんを見れなくて街のイルミネーションを見た。



滲んだ目を見られないように。










< 38 / 77 >

この作品をシェア

pagetop