緒方くんとあたし。





他の先生の下で碁を習うなんて考えてもみなかったあたしには、簡単に他の師匠につくということができないでいた。

それは、父の影がいつもあたしに付き纏って、じっと見つめているような気がしてならなかったからだ。



・・・・・父が亡くなってから3ヶ月ほど経ったある日、桜井先生があたしの家まで来て、何やらおかあさんと話し込んでいるのを見た。

「ああ、志乃。ちょっとこっちへ来て」

そうおかあさんに言われて、おずおずと居間に座った。










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