守られるより守りたい!
「違うの?あたし、小学校3年生の時からずっとそうだと思ってたよ?」
「なんで!?」
まだあわあわとするあたしを見て、ユカは当たり前とでもいうように言った。
「だって、亜稀から好きな人の話とかの恋バナ、全然聞いた事とかないし。だから、亜稀は坂城君の事がずっと好きなんだなー、って思ってたよ?それ以外の人を好きになってないんだなーって」
「ち、違うよ!?確かに今まで…、好きな人はいなかったけど!」
本当に違う。あたしにとって坂城君は王子様じゃない。
「じゃぁさ、亜稀は坂城君の事どう思ってるの?亜稀にとっての坂城君って?」
あたしにとっての、坂城君…。
王子様のように、いつか自分に会いに来てくれるんじゃないかって願うような存在ではない。
いつしか、自分を助けてくれた存在であり、そしてもう二度と会えないような存在。
憧れと、尊敬と、感謝。恋心とか、そんなんじゃない。
そう、坂城君は、あたしにとって…。
「……ヒーロー。」
「ヒーロー?」
ユカが首をかしげて、もう一度繰り返した。