守られるより守りたい!
「ねぇ二人とも、聞いた!?」
いつもテンションの高い千春だけど、今日はいつもよりテンションが高い。
「何?」
「今日、転校生が来るんだってー!」
千春がニコニコとそう言って、あたしとユカは顔を見合わせた。
「どんな人かなー?カッコイイイケメンだったらいいなー!」
きゃぁきゃぁと千春が騒ぐ。周りが見えてないそのうちに、ユカがひそっと小声で言ってきた。
(…あるんじゃないの?運命の再会)
私も小声で返す。
(…ないって。ないない。ていうかあったとしても運命じゃないって)
(なんで?充分運命でしょ)
(だから運命の王子様とかじゃないって言ったでしょ?)
(王子様なんて一言も言ってないでしょ、あたし)
(へ?)
(なぁに?やっぱ王子様って事?)
(あーはいはい墓穴掘りましたよ。ていうか、違うから)
「亜稀ちゃん?ゆかりん?」
「「ハイっ!?」」
千春に急に声を掛けられて、思わず二人揃って裏返った声で返事する。
「先生来たよ?」
千春に言われて周りを見渡すと、先生も含めた皆があたし達を「早く席につけよ」的な目で見てきたため、とりあえず大人しく席に着く事にした。