守られるより守りたい!
「神澤ぁ、おっはよ~っ!」
クラスの男子のそんな元気な声にビクッとしたのもつかの間、ぐいっと髪の毛を引っ張られる。
「痛っ!」
「ぎゃはははははははっ!!バッカじゃねーの!!」
あたしが嫌がると、男子達は大げさに笑った。
そんな笑い声が大っ嫌いだった。
泣きそうになりながら、自分の席に着く。
カバンの中は、いつも教科書でいっぱいだった。
だって教室に置いていったら、落書きされるから。
そのせいでいつも肩が痛い。学校に着くたび、肩をぐるぐるとまわす。
その行動も、男子達にはおかしく見えるようだった。
「なんだ神澤ぁ、肩いてーの?こってんの?ぷっ!うちのばーちゃんと同じじゃん!」
「ぎゃははははは!!ばーさん!ばーさんじゃん!」
「おいお前ぇ、ばーさんなんだから小学校にくんなよな!老人ホームに帰れ!」
「ぎゃーっはっはっはっは!!!」
ばーさん、ばーさん、と男子からのコールが始まる。
ここで逃げ出そうとすると、教室のドアまで先回りされてまた髪の毛を引っ張られる。
痛いのは、嫌だ。だから、がまんしなきゃ。
ばーさん、ばーさん、のコールはやまない。
いつの間にか、コンッ!コンッ!と物が頭にあたる。
消しゴムとか、くしゃくしゃに丸められたプリントとかだ。
痛くはないけど、辛い。
…どうして!どうしてあたしがこんな目にあわなきゃいけないの!?
そう思った時、声が響いた。
「お前らさぁ、いいかげんにしろよ!」
その声が無かったら、あたしはここに居たのだろうか。
それくらい、私を助けてくれた一言だった。