守られるより守りたい!
中庭につくと、3人の男子がいた。
同級生で見た顔じゃなかったから、たぶん2年生。
1人の男子をもう1人の男子が抑え、さらにもう1人の男子が誰かの鞄の中をあさっていた。
たぶんこれは、1対2の状況。
「やめてくれってば!返せ俺の鞄!!」
「うるせーなー、ちょっと見せろって言ってるだけだろ?んだよ、そんなに大事なもんでも入ってんのかよ?」
「いいから返せ!!」
「あ?なにお前命令口調なわけ?何?お前俺より偉いの?え?頭よければそんなに偉いんですかー?」
「いいから返せ!!返してくれ!!」
「ちょっと、君たち。一体なにしてんの?」
鞄を奪われた眼鏡君がもう泣きそうになっていたため、あたしは思わず口を挟んでしまった。
鞄を持ったツリ目のいじめっ子君に「あ?」と睨まれる。
眼鏡君を抑えている長身のいじめっ子君も、ぎろりと鋭い目であたしを見た。
何度かこういう目を見ていると、だんだん慣れてきた。
「そんな睨まないでよ。とりあえず返せって言ってるんだから返してあげな。」
「うっせーなオバサン、口挟んでくんなよ関係ねぇだろ」
「そうだよ関係ないよ?だけどさ、このままほっとけないの。あとオバサンって言ってもあたし1コ上なだけだよ。で、とりあえず君は放してあげな。そして、鞄は返してあげなさい」
「俺に命令すんな!!なんだよ、俺よりお前のほうが偉いのかよ?あ?」
「じゃあ何よ、あたしよりもあんたの方が偉いっていうの?誰が偉いとか、偉くないって問題じゃないでしょ。で、それは彼の鞄なんでしょ?本人が返してって言ってるなら、返してあげな」
「う、うっせーな!」
「ほら、君。放してあげな。そんで、もう皆帰ったんだから帰りな」
そう言うと、長身のいじめっ子君は眼鏡君をすっと放した。
「えっ、ちょ…おい、マサシ!」
唯一の味方が離れていったツリ目君はあわあわとしながら長身君…マサシ君を見た。
「ほら、君も意地張ってないで返してあげなさい。こんなくだらない事してないで、もっと有意義に時間使いな」
「……うっせーな!バーカ!」
そう言って、ツリ目君は鞄を抛りなげ、ダーッと向こうへ行ってしまった。