守られるより守りたい!
「よっ、と」
坂城君が窓をひょいっと飛び越え、中庭に上靴のまま降りてきた。まぁあたしも上靴なんだけど。
「なっ、なんでいんの?帰ってなかったの!?」
「…なにそんなに慌ててんだよ。帰ってなかったけど?いろいろ校舎みてた」
「あら…、はぁ…、そうなのねぇ…、へぇ…」
だんだん慌ただしかった自分の鼓動が落ち着いてきて、緊張が抜ける。
「ていうか…神澤、変わったじゃん」
「ほへ?」
坂城君の急な言葉に、思わず間抜けた返事をしてしまう。
「何?今度は自分が助ける番になったの?」
その言葉を聞いて、「ああ…今朝ユカが言ってたのはこの事だったのかぁ」と気付いた。
「あっ、えっと、…なんか、ほっとけなくなっちゃって!」
「ふぅん」
「あの時坂城君が助けてくれたように、あたしも誰かを助けたいなぁって思っちゃって。中学入ってからかな…こういう現場見たら絶対助けるようにしてたら、今じゃもう思わず体が動いちゃうな」
「へぇ、成長したじゃん」
少し微笑んでそう言った坂城君に、思わずどきっとして目をそらした。
少し伸びた黒い髪、少し大人びた顔立ち、少しクールになった口調。
小学3年生のあの頃より全然違う、けど、やっぱりどこかあの頃の面影が残ってる。
坂城君は、本当に戻ってきたんだ…。