守られるより守りたい!
それからのあたしの生活は変わった。
「おはようっ、亜稀!」
仲が良かった友達は、今まで通り接してくれた。
嫌がらせを受けていた頃は、やはりあたしもあたしで暗かったから接しづらかったのだろう。
あたしだって、誰かが嫌がらせを受けていた時に助けたり明るく接したりするのはできないと思う。
だから「あの時は助けてくれたのに今さら…」とは、思わなかった。
ただ、友達と笑いあえる日々が嬉しくて仕方なかった。
そんな日々で時々思った。
坂城君への、伝えきれないくらいの感謝。
今のあたしの笑顔があるのは、きっと彼のおかげ。
そう思うたび、坂城君はあたしの中でどんどん大きい存在になっていた。
きっと一生の中でもそうそういない。
これほど尊敬し、感謝できる人は。
そんな坂城君が学校を去ると知ったのは、それからすぐの、小学3年生も終わりの春だった。