守られるより守りたい!


「そういえばさぁ、神澤さん」


坂城君にチーコロをプレゼントした後、不意に隣の席の榎並《Enami》さんが声をかけてきた。


榎並さんとは隣の席の縁もありよく話すのだが、たいてい授業中とか給食のさいちゅうは坂城君がなんか言ってきたりするため、名字で呼び合う仲からは発展していない。


「テスト勉強って、してる?」


榎並さんの言葉で、あたしは思わずうっと顔をしかめた。


あたしの中学校では6月も15日くらいになると、校内テストが行われる。


今は6月のはじめ。テスト勉強計画表が、たぶん今日にでも分けられるだろう。


「全然だよ。去年もおととしも、計画表分けられてから始めって感じだったし」


「そうなの?神澤さんって頭いいし、もっと早くテキパキとはじめてると思ってた」


どうやら2ヶ月隣の席として接してきたが、榎並さんの中のあたしは現実とは全然違うようだ。


「全然。授業で最大限覚えて、あとは課題こなすくらいしか…」


「そうなんだ!神澤さんって、塾とかいってないの?」


「いってないよ」


「へー…」


榎並さんが少し驚いたようにそう言った。


すると後ろから、話に参戦してくる奴が居た。


「何、神澤って頭いいの?」



無論、坂城君だ。



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