守られるより守りたい!
坂城君=必要無いガードマン。
「おっ、…おー!なるほど!」
「…分かってくれた?」
「おう。バッチリ」
坂城君がそう言って笑った時、もう外は暗くなっていた。
勉強の進み具合といえば、ワークを3ページ程。
自分でやるのとを比較したら、そりゃ遅い。
でも結構まぁ、…楽しかった。
珍しく坂城君の笑顔を見て、そう思う。
そう思って、こっちも笑ってしまう。
その瞬間、ふと時間が気になり時計を見る。
「あっ!完全下校まであと10分!」
短針は、5と6の間の若干5寄り。長針は、3と4の間の若干4寄り。
つまり、約5時20分。
5時30分の完全下校時刻までには、学校を出ないと。
「坂城君、もう帰らないと!」
「え?まだあと10分あんじゃん」
「あんじゃん、じゃないよ。それに今はエース君いるからいいけど、エース君出てっちゃったらあたし達が鍵職員室に持ってかなきゃだよ」
「それは嫌だ」
坂城君が即答して、ちらりとエース君を見る。
エース君とは、あたし達と同じ学年の男子だ。
テニス部の部長であり、エースであるという事は学年中皆知っている事だが、名前とかクラスとかあたし、全然知らない。
そして今日、同じような認識の坂城君と共に彼の事を『エース君』と呼ぶことにしたのだ。
とりあえず鍵をエース君に密かに託し、あたし達は自習室を出た。