守られるより守りたい!



「坂城君が、家庭の事情で転校することになりました」


先生がそう言うと、クラスが騒然とした。


やはりあんな事があったから、坂城君はクラスの中でも大きい存在だった。


その坂城君がこの学校からいなくなるという事は、大事件だった。


「でも近くの町だから、中学校とか高校とかで会うかもしれません。だから皆、そんな哀しそうな顔しないで」


先生が優しい目でそう言った。皆は確かに、哀しそうな顔をしていたけど、先生の言葉を聞いてぱぁっと顔を明るくさせた。


「3年生から4年生へとかわるこの春に引っ越しをし、転校をします。あと数日ですが、いい思い出を創ってくださいね!」


先生が笑って、皆に向けて、坂城君に向けてそう言うと、皆は「はいっ」と明るく答えた。


坂城君が、小さく微笑む。




その中であたしは、ただ茫然としていた。




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