守られるより守りたい!
「…じゃあ、ありがとう」
「ん。…風呂にでも入れよ?濡れてんだし」
「あ、うん。…分かった」
坂城君に言われて、改めて自分を見る。
傘に入れて貰ってたものの、その前のゴタゴタで全身が結構濡れていた。
そしてふと、坂城君を見てみると、坂城君の右半身だって結構濡れていた。
あたしと二人で傘に入ってたから…。
「坂城君も、風邪ひかないようにね」
「は?どうやってひくんだよ、俺ちょっとしか濡れてないし」
「右半分だけ風邪ひくんじゃない?右脳が馬鹿になるよ」
「うっせぇな、じゃぁな!」
「あっ、うん!じゃぁね!」
そう言って、あたしの家の前で別れた。
その時ふと、窓をどんどんと叩く音に気がついた。
なんだろ?と思ったら、そこにいたのは意外な人物だった。
「…お、お兄ちゃん」
大学に通っていて、一人暮らししているはずの兄だった。