守られるより守りたい!
「あたし、坂城君大っ嫌い!」
いつかの榎並さんが、そう言ってたことをふと思い出す。
「だって偉そうで、神澤さんの事いーっつもいいように扱ってるじゃん!まるで下僕みたい」
…下僕…、その言葉に、だいぶ傷ついたのを覚えてる。
「なぁに?神澤さん、アイツに脅されてる?」
…まぁね、過去の大恩があるからね。
「何で脅されたりしてるのかは分かんないけど、絶対ダメだよ今の状態は!嫌だったら嫌、嫌いだったら大っ嫌いって言ってやんなきゃ!」
「まぁまぁ、榎並さんがそんなヒートアップしなくても…」
「もーっ、心配してんのに」
そんな感じで榎並さんは落ちつかせたけど、そのときは坂城君やだなぁって思ってた。
なんであたし、こんな目にあっちゃってるんだろうって。
消しゴム落ちた度に拾わなきゃいけないあたしって、なんなんだろうって。
でも、…でも…。
そんな日々を過ごしているうちに、坂城君のいろんな面が見えてきた気がする。
勉強が苦手な所、足が速い所。
手先が器用な所、朝が苦手な所。
弟に迷惑かけっぱなしな所、ピーマンやエビが苦手な所。
子供っぽい所や、大人っぽい所。
ムカつく所や、尊敬する所。
そんな坂城君を知っていく内に、やっぱりホントの坂城君は悪い人じゃない。
そんな坂城君の事を考えると…、嫌いじゃないって思う。
……だけど一つ、ひっかかる事がある。
…なんで坂城君は、変わってしまったのか。