守られるより守りたい!
「……っ、どうなんだろう…」
「ていうか、亜稀の中で今坂城と昔坂城はもうほぼ別人なんじゃない?」
優しくて助けてくれるヒーロー坂城君。
意地悪でちっぽけに優しい坂城君。
まるで別人のような二人。
「で、それを同一人物だって考えると、やっぱヒーロー昔坂城の方がいいなぁ…なんで変わっちゃったの…?あたしの好きな坂城君のままがいいよ…とか考えちゃうんじゃないの?」
「すっ!?す、好きじゃないけど!!でも…、でもさ、…うーん…、でも、優しい方が…よくない?」
「知らないよ。人それぞれでしょ。ちなみにあたしは、誰にでも愛想振りまくような優男は嫌い」
「それはあたしも嫌い。優しさのタイムサービスみたいなね」
「それも永遠に続くタイムサービスね」
ユカがにっと笑って、あたしも思わず笑う。
「そんで、あんたは優しい方がいいから昔坂城に戻ってほしいなとか、思っちゃってんの?」
「うっ…、わ、分かんない」
「あーっ、もう!!何が分かんないのっ!!」
「むっ、昔の坂城君は、優しくてヒーローでっ…、でも、今の坂城君にも、いいところはあるわけで…ていうかっ、どっちが好きとかそんなんじゃなくて!!なんで変わったのかを知りたいってだけでっ」
「なんかいらっとくるわー」
ユカの一言が、ぐさぐさと突き刺さる。
ああなんか、いやがらせを受けてた時みたいだ。
心がぽきっ、と折れそうになるのをこらえる。