新米教師"L"
艶野と祐介は、喫茶店に入っていった。

カノンは二人の会話が聞こえるよう、近くの席に座った。

「…仕事? えぇ、順調よ。馬鹿な餓鬼共も私になついてくれてるし」

そう言うと、艶野は手を組み顎を上にのせた。

祐介は笑うと、メニューを見ながら尋ねた。

「ははっ…、今は何人相手にしてんの?」

カノンには、意味が解らなかった。

「んーと、五人ね。1年にも早速できたわよ。
中学の頃から好きでしたなんて言われちゃって…。
中学では結構有名な不良だったみたいだけど、純情な子だわ。
扱いやすいタイプね。―――あ、あたしこれにするわ」

二人とも注文をする。
店員が去った後、艶野は面倒臭そうに喋り始めた。

「でも、その1年が口止めしてたのに漏らしたみたいで、
ちょっと危ういのよね。どうしようかしら…?」

「お前だったら簡単に捨てそうだよな。
今まで何人の生徒と付き合ってきたんだよ」

「あら、私の立場を危うくする男は、どんなに顔が良くても捨てるわ。
…だって、本命は貴方だもの」

クスリと笑ってそう言うと、艶野は祐介の頬にキスをした。

「へへっ…。あ、お前、今日ヤりてぇんだろ」

頬をだらしなく緩め、祐介は艶野にキスを返した。

艶野はにっこりと微笑んだ。
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