新米教師"L"
それから艶野と祐介はしばらく談笑し、喫茶店を出ていった。

カノンは迷ったものの、結局付いていくことにした。

ブティックやアクセサリーの専門店などを覗きながら、街を歩いていると、
艶野に男が声をかけた。

「あれぇ、艶野サンじゃん。何してんの、こんな所でェ」

「ッ!?」

その男は、ピアスをたくさんつけており、
祐介に負けず劣らずの容姿だった。

その男が現れたことに、艶野は大変驚いていたようだった。

「…その男、誰ェ?」

「…ち、千明(ちあき)…! これは、ね…あの、」

艶野は動揺を隠しきれず、祐介と組んでいた手をいつの間にか離していた。

「蝶…どういうことだ?」

今度は祐介が艶野に問いかける。

すると千明は鼻で笑った。

「やっぱり、艶野サン、他の男と付き合ってたんだー」

「…っ、ちがっ…!!」

「何が違うんだ? 本当なのか、蝶!?」

艶野は祐介と千明の顔を交互に見て、下を向いた。

「…あの、それは…」

すると、艶野の前に男が立った。

「何も間違ってませんよね、蝶さん」
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