普通の恋はできません!
「なに?寝れねーの?」


気まずい沈黙を破ったひとこと


「男子の前で寝れるわけ無いだろ。普通。私ガールズなので」



「襲ってやろうと思ったのに」



…………



「ぶっ殺す」



おまわりさん。こいつです。





「んじゃ、学校抜け出すか?」


「鞄とか教室にあるし……」


「置き勉すりゃいいじゃん」


「いや、一応勉強したいし」



「いーじゃん。桜田組の跡取りさんは文武両道らしいから」



ぬぁっ!



「なにその情報」


「お前の親父情報」


「はぁぁ!?」




________________


それは、半年に一度行われる桜田組と龍田組の定例会議でのこと……



遡ること3年前





「いやぁー!東はどうですかいね?」


「いろいろあるけど平和に平野にやっとりますよ」



がハッハッハっ!!



実は、桜田組組長桜田拓海と龍田組組長龍田源は組のイザコザを抜けばなんとも仲のよい二人だったのである




「そんで、拓海のとこのお嬢ちゃんも中学あがったみたいだが、どうかね!勉強と喧嘩術やなんかは!」



「いやぁ!頭は誰に似たかわからんが、めっぽうキレるぞ!キレっキレだよ!桜田組も、安泰だ!んで、喧嘩術はなぁ……」


拓海は少し深刻な顔つきになると



「女の子だからあんまりそういうのは身につけて欲しくないところなんだけど……既に組の中でも力量を抜けばトップ3には入るよ」


がハッハッハっ!



「ほぉー。かなみちゃん、だったかな?すごいねぇ!うちのとは大違いじゃねえか!」



「そういえば、源のとこも中学に……?」


源はニカッと笑って



「そうなんだよ!いやぁ、頭は俺に似てバカなんだが、やれば出来る子でな!YDKでな!勉強が嫌いなんでな!」



「そこは、麻妃さん似……かな?」


麻妃とは蓮の母



「麻妃は頭がいいからなぁ……たぶんそれだ!」


がハッハッハっ!



「やればできるから、喧嘩術もちゃんと教えればもっと、良くなると思うんだが、なんせ奴は独学でやっとるからなぁ。人を倒す事しか目的としてないやり方なんだよ……まぁ!」


ニカッ!



「それに比べて……かなみちゃんは……」



「文武両道だな!」



「そうなるな!」



がハッハッハっ!




________________





「ほら、お前の親父が言ってるだろ?つか、どんだけ親ばかなんだよ」




「あんたんとこもでしょ!YDKだってよ!」



つか、親父はなんてことを言ってんだ!?




『誰に似たかわからんが、』





この言葉が脳内で何度も何度も再生される




そう。誰に似たかわからない。



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