明日晴れたら、
「美和、傘ある?」
後ろから薺ちゃんに声をかけられた私は、首を横に振った。
「じゃ、これ使って。あたしのだから」
「えっ?」
渡されたのは青い水玉の折り畳み傘。
「だって、そしたら薺ちゃんが…」
「あたしは大丈夫。今日バイトで、塔田と一緒だから」
薺ちゃんは鞄のファスナーを閉めると、「じゃあまた明日ね」と言って昇降口に向かった。
「ありがとう薺ちゃん!」
後ろ姿の薺ちゃんにお礼を言うと、鞄に教科書類をまとめて、私も昇降口に向かった。