明日晴れたら、




するといきなりしゃがんで私と視線を合わせてきた南くん。


近くなった距離に、思わず身を引く。



「送っていこうか?」

「…ゆ、悠弦くん…」


南くんの背中を見つめる汐浬ちゃんが、下唇を噛んだ。




「だっ、大丈夫っ。薺ちゃん待ってるだけだから…っ!」


とっさに首を振った。それしかできないと思った。



「ほ、ほらっ、汐浬ちゃんと帰ったら…? ねっ?」


ぎこちない笑顔しか向けられなくて、それを見られるのがいやで顔を逸らした。




「…増川…。じゃあ、一緒に川上待つよ。長澤はどうする? ここで待つ…」

「い、良いよ南くん。私はほんとに大丈夫だから…。…汐浬ちゃんと、帰って…っ」




私は、南くんの優しさから逃げ出した。




< 141 / 244 >

この作品をシェア

pagetop