明日晴れたら、





「じゃあ…『へたくそ』って書いたの、南くんだったの?」


それに、南くんは笑って頷いた。




「俺さ、女子と話すの得意じゃないんだ。なんか、一歩分距離置いちゃうっていうか、普通にできない」


ゆっくりと話しはじめた南くん。



「偶然、増川が一生懸命なにか描いてるの見つけた。絵見たら面白くて。つい書いちゃったんだ。男子とか家族には、普段あんな感じで話してるんだ。『へたくそ』とか『あほ』とか、普通に使う」


「そうなんだ…!」



知らなかった。


南くんは、『へたくそ』とかそんな言葉は全然使わないんだと思っていた。




「…小さい頃の俺って、考えるより先に行動するタイプだったんだ。それで、当時仲良かった女子を泣かせちゃって…。あと先考えずに行動しちゃったから…。それをきっかけに、すごい考えてから行動するようになった。特に女子には」



隣の南くんをちらりと見ると、目の前に広がる芝生を見ながら、そのことを思い出しているようだった。



< 203 / 244 >

この作品をシェア

pagetop