明日晴れたら、




意を決して走り出そうとしたら、


「あれ…もしかして、傘ないですか?」



地面に叩きつける雨の音の中、辛うじて聞き取れた声。


驚いて声がしたほうを見てしまいそうになり、慌てて顔を戻す。


さっきまで泣いてたから、顔見られたくない…。




「…送っていこうか?」

次にそんな声が聞こえて、私はとっさに首を振る。

「だっ、大丈夫です! 大丈夫です!」

「でも…傘ないでしょ?」

「っ…」



…ない…けど、誰かもわからない人に送ってもらうなんて、そんなの厚かましすぎるよ…!



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