僕は君の名前を呼ぶ
でも、お母さんが言っていることは正しいのかもしれない。
心理学なんてマイナーな学問じゃないし、学ぼうと思えばきっとどこでも学べる。
教員免許なんて、お母さんが言う通り取ろうと思えばどこでも取れる。
そう思うとわたしは何も言い返せなかった。
「でもお母さんね、」
わたしが何も言えずに黙っているとお母さんが口を開いた。
「彩花にやりたいことが見つかったみたいで嬉しいわ。今まで“どうしてもコレ”ってものがなかったでしょ?」
確かにそうだ。
幼稚園の頃、“ケーキ屋さんになりたい”“お花屋さんになりたい”といったメジャーな道は通ってきた。