僕は君の名前を呼ぶ


いつか橘は“ただの友達なわけがない”と言ってくれたけど、俺たちの関係を説明するならばやっぱり“友達”という言葉を選ばざるをえないのだ。


付き合ってもいない友達の祭りに浴衣で行ったら、気合いが入りすぎていると思われないだろうか…。


橘のことになると、些細なことでも気になってしまう。

“恋のパワー”ってやつは、本当にすごい。


《浴衣を着て行けばきっと橘も喜ぶよ》


「そうか?」


《そうそう!お前は撫で肩で浴衣が似合うんだから着ないともったいないぞー》


撫で肩なこと、気にしてるんだけどな。

こんなにサラリと言われてしまうと反論するにもできないや。


< 161 / 419 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop