僕は君の名前を呼ぶ
いつか橘は“ただの友達なわけがない”と言ってくれたけど、俺たちの関係を説明するならばやっぱり“友達”という言葉を選ばざるをえないのだ。
付き合ってもいない友達の祭りに浴衣で行ったら、気合いが入りすぎていると思われないだろうか…。
橘のことになると、些細なことでも気になってしまう。
“恋のパワー”ってやつは、本当にすごい。
《浴衣を着て行けばきっと橘も喜ぶよ》
「そうか?」
《そうそう!お前は撫で肩で浴衣が似合うんだから着ないともったいないぞー》
撫で肩なこと、気にしてるんだけどな。
こんなにサラリと言われてしまうと反論するにもできないや。