僕は君の名前を呼ぶ
声がする方へ顔を向けると、もう浴衣に着替えていた隆太がいた。
『なかなか似合うじゃん』
浴衣が似合わないと嘆いていたのに普通に着こなしている隆太。
髪もいつもと違うふうにまとめられている。
コイツは元がいいからな。
桃子ちゃんもきっと喜んでくれるだろう。
『母さん、海斗にも早くやってあげて』
『わかってるわよ。さっ、海斗くんこっちよ』
そう言われ、俺は部屋に連れて行かれた。
部屋に隆太の母さんとふたりきりになった俺。
日頃から隆太から俺の話を聞いているのだろう。やっぱり質問攻めになってしまった。
『海斗くん、お祭り久しぶりに行くんでしょ?中学生の頃は毎年隆太と行ってたのにね~』