僕は君の名前を呼ぶ
プラネタリウムと道標
「よーっす海斗」
「……おっす」
夏休みが明け、9月。
隆太の明るい声が教室に響いていた。
去年までは、夏休みが明けると外部活のやつらは真っ黒に日焼けしていたが今年はやはりそうとはいかないみたいだ。
俺や隆太だけじゃない。
みんな、自分を犠牲にして未来のために勉強しているんだ。
「うわ、暗っ!暗すぎるよお前!真っ黒いオーラ出てるぞ」
「………」
うるせー
「夏休みボケか!ん?海斗、痩せた?」
俺の返答のない一方通行の会話なのに、隆太のマシンガントークは止まることを知らない。
「夏バテだよ、多分」
体重はめったに計らないから詳しくはわからないが、確かにベルトの穴が2つほど変わった。
原因はわかってる。
「お前、体調崩したらもともこもないぞ。体が資本なんだからな。おっ、橘じゃん!よーっす」
いつもの席に橘が現れた。
「おはよ、篠田」
「た、橘っ。おはよう」
「……」
え…、無視?
橘は机に荷物を置くと、どこかへ行ってしまった。