僕は君の名前を呼ぶ
「カナちゃん、結構積極的だから海斗にアタックに行くかもね~って、全部桃子が」
「…俺はカナの気持ちには応えられない」
「くぅ~!モテる男はつらいね!」
他人事だど思いやがって…。
「好きな人に好かれなきゃ、意味ないだろ」
「で、海斗と橘はどうしたんだ?」
「『で』じゃねーよ。何で俺が隆太に話さなきゃならねーんだ」
「カナちゃんのこと教えてやったじゃん。海斗の恋路の障害が現れると思って言ってやったのに…」
「わかったからちょっと黙って」
「ヒィィ、怖い!」
祭りの日以来、俺は誰にもぶつけられないモヤモヤを抱えていた。
橘になんて言えばいいか考えながら何にも手をつけられずにぼんやり過ごしていた。