僕は君の名前を呼ぶ
「お前の橘への想いはそんなもんなのかよ!昔の男だ?笑わせんな。所詮“昔の男”だろ。橘の隣で笑顔見たいんじゃねーのかよ!」
声を荒げた隆太に俺は、ただびっくりすることしかできなかった。
「ごめん、頭冷やしてくる」
「ちょ、隆太!?」
これからホームルームが始まるというのに、隆太は教室から出て行ってしまった。
すると、隆太と入れ違いで橘が戻ってきた。
「橘、あのさっ…」
橘はやっぱり無表情で俺のそばを通りすぎそのまま座席へ。
橘がこんなんじゃ、一生かかっても話しかけられない…。
渡辺も心配するような表情でこっちを見ている。
…あのとき、無理矢理にでも引き留めてちゃんと話をすればよかった。
後悔しても、もう遅いのにな。