僕は君の名前を呼ぶ
「アイツ、なんだろ…?」
「さすがだね、夏樹くん。何でもわかっちゃうんだね」
「あ、当たり前だろ!彩花のことなんだから」
夏樹くんの目…、赤くなってる。
やだな、わたしまで泣けちゃいそうになるよ。
「どう?仲良くやってんの?」
夏祭り以降のギクシャクした関係を考えると、首を縦に振ることはできなかった。
「関係こじらせてるなら、俺が割り込んで彩花のこと奪い去ってやろーかと思ったけど、やめとくわ」
夏樹くんは歯を出して笑った。
また、お決まりの冗談だよね。
わたしを思って、わたしを笑わせようと思って、言ってくれたんだよね。
でも…
「ごめん、この冗談は笑えない…」
「ハハッ、わりぃわりぃ」
なんか、昔に戻ったみたい。
心がむずがゆくなって、ちょっと笑えた。
「そうだ、海斗から聞いたんだけどさ…」
…ん?