僕は君の名前を呼ぶ
勘違いのヒポコンデリー
文化祭当日。
俺はやることもなく、クーラーの効いた教室で店番をしていた。
学校のクーラーだからってお構い無しに温度を下げて、ギンギンに冷えている。
今日は俺だけ、ひとり。
隆太は桃子ちゃんとべったりだし、渡辺も彼氏と一緒にいるみたいだし、橘はよくわからないけど朝に一度姿を見たきりだった。
みんなで考えたおそろいの衣装を着ているのが、なんだかむなしくて滑稽に感じる。
教室の角でお客用の椅子をひとつ拝借して、そこに座る。
将来、声優になりたいとかいうクラスのやつがナレーターとして星の説明をしている。
「あれ、こんな星ってあったけ?」
だなんてまぬけな声で言ってて、ちょっと笑えた。
俺が作ったんだっつーの。
俺だけが知ってればいいんだ。