僕は君の名前を呼ぶ
「隆太くんから話、聞いた?」
「…うん。大変だったな、色々」
「あは、海斗が理由でフラれるとは思わなかったな~、アハハ」
カナは無理矢理笑顔を作った。
「ごめん」
カナには悪いけど、謝ることしかできなかった。
「ううんっ、まだ海斗をひきずってるわたしが悪いんだもん。あのさ…、良かったら一緒にまわらない?友達も店番だったりでひとりになっちゃって」
「まあ、いいけど…」
本当はひとりにさせて欲しかったけど、こんなににぎわっている校内ではひとりになれる場所も少ない。
そうなると断る理由もないから、俺は了承することにした。
「なんか、久しぶりだね~。こうやってふたりで並んで歩くの」
「そう、だな…」
正直、周りからの視線が痛い。
カナは学年でも目立たないわけじゃない。