僕は君の名前を呼ぶ


【彩花 SIDE】


『思い出を作りたい』と高校の文化祭にわざわざ来てくれた夏樹くん。


夏樹くんは引っ越す前、高校の近くに住んでいたからかなり懐かしんでたみたい。


一緒にチェキ撮ってもらったり、夏樹くんの『俺がミスターコンに出たら絶対優勝できる』ってボケに笑ったり、とても楽しかった。


あのときにこういうふうに過ごせていたらって思ったけど、わたしはもう後ろは見ないよ。


前に、進むんだ。




夏樹くんと別れてからわたしは、店番をしつつ天井に広がる星空をレモンティー片手に見上げていた。


「ん?」


北斗七星の隣に、あんな星あったっけ…。


小さい頃、望遠鏡を持っていた父親の影響で天体観測にハマって必死に星を勉強したことがあったからこのくらいの間違いならわかる。


クラスには天文部の人もいて、かなり凝って投影機を作っていたはずなのに、何でだろう?


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