僕は君の名前を呼ぶ
思い出の塔
「おはよ」
「うおあっ!」
通学中、俺は後ろから声をかけられた。
振り向くと、そこにいた人物に驚いて思わず目をごしごしとこすってしまった。
朝から心臓に悪いって。
笑顔の橘がこっちを見ていた。
「おーい、海斗くーん。おはよって言ってるんだけどー」
「あぁ、おはよ。橘は何でここに?」
「海斗くん、ここなら通学路かなって待ってみましたー」
そうか。
自宅から徒歩で通学する橘と電車を利用する俺は合流地点であるここで落ち合わないと一緒に登校するのが難しいんだ。
わざわざ待っていてくれたなんてかわいすぎでしょ、俺の彼女。
彼女。
彼女、彼女。
“俺の彼女”っていう響きがくすぐったい。
「ヤバい、めっちゃ嬉しい」
「それならよかった」