僕は君の名前を呼ぶ
「ま、マジ!?」
意外な共通点だな。
頭の中にある【橘ノート】の“好きなもの”の欄に俺はそのバンド──アナクロて書いた。
いつか一緒にライブに行けたらいいな、なんて思ったり。
受験があるから次のライブに行くのは無理だけど、来年のツアーには行きたい。
「海斗くんがこの曲聞いてたなんてねぇ…。誰のこと考えながら聞いてたか言ってみな! ん?」
「橘のこと考えてた…」
は、恥ずかしすぎる。
事実だけど、恥ずかしい。
「彩花」
「ん?」
「海斗くんには彩花って呼んで欲しい…」
ヤバいって。
かわいすぎるって、俺の彼女。
「彩花、ちゃん?」
「それでよし。」
彩花ちゃんは満足したみたいだった。